2026年8月23日

鼻がむずむずとかゆい時に、ティッシュで鼻をかんだら血が混じっていた、という経験はありませんか。
特に、花粉が飛散する季節や空気が乾燥する時期には、鼻のかゆみと鼻血が同時に起こりやすくなります。
この記事では、花粉症などが原因で起こる鼻のかゆみと、鼻血が出る際の原因や対処法、メカニズム、正しい対処法、そして繰り返さないための予防策について、耳鼻咽喉科の視点から詳しく解説します。

はじめに:鼻のかゆみと鼻血が同時に起こるメカニズムとは?
鼻のかゆみと鼻血は、一見すると別々の症状に思えるかもしれません。
しかし、これらは鼻の粘膜に起きたトラブルが原因という点で密接に関連しています。
主なメカニズムは、「かゆみによって鼻をこする・強くかむ」→「デリケートな鼻の粘膜や血管が傷つく」→「出血する」という流れです。
特に鼻の入り口近くにある「キーゼルバッハ部位」は、細かい血管が網の目のように集まっているため、わずかな刺激でも出血しやすい特徴があります。
鼻のかゆみと鼻血を引き起こす主な原因
鼻のかゆみとそれに伴う鼻血は、日常生活の中に原因が潜んでいることがほとんどです。
特に代表的な原因として、アレルギー反応、空気の乾燥、そして物理的な刺激の3つが挙げられます。
花粉症の時期に症状が悪化する方や、無意識に鼻をほじる癖がある方は、それぞれの原因がご自身の症状とどう関係しているかを確認してみましょう。
原因1:アレルギー性鼻炎や花粉症による粘膜の炎症
スギやヒノキなどの花粉、ハウスダストやダニといったアレルゲンが鼻の粘膜に付着すると、体はそれを異物と認識し、アレルギー反応を起こします。
この反応によって粘膜に炎症が起き、くしゃみや鼻水とともに、強いかゆみが生じます。
かゆみを和らげようと鼻をこすったり、頻繁に強く鼻をかんだりすることで、炎症で敏感になっている粘膜の血管が傷つき、鼻血が出やすくなるのです。
特に花粉症のシーズンに鼻血が増える方は、このケースが考えられます。
原因2:空気の乾燥によるドライノーズ
冬場やエアコンの効いた室内など、空気が乾燥している環境では、鼻の粘膜も潤いを失いがちです。
鼻の粘膜が乾燥すると、外部からの刺激を守るバリア機能が低下し、少しのホコリや温度変化でも敏感に反応してかゆみを感じやすくなります。
これをドライノーズと呼びます。
乾燥した粘膜は非常にもろくなっており、健康な時なら問題ないような軽い刺激、例えば少し鼻をこすっただけでも血管が切れ、出血しやすくなります。
原因3:鼻をいじる癖や強い物理的刺激
かゆみや違和感から、無意識のうちに鼻を指でいじる、いわゆる鼻をほじる癖も、鼻血の直接的な原因となります。
爪で粘膜をひっかいてしまったり、同じ場所を繰り返し刺激したりすることで、血管が傷ついて出血します。
また、鼻水や鼻づまりを解消しようと、力任せに鼻をかむ習慣も粘膜への大きな負担となります。
特に、お子さまは鼻の粘膜が薄くデリケートなため、少し鼻をいじっただけで鼻血が出ることがよくあります。

今すぐできる!鼻血が出てしまった時の正しい止め方
鼻血が出ると、つい慌ててしまいがちですが、落ち着いて正しい処置を行えば、ほとんどの場合は数分で止まります。
ティッシュを詰めたり上を向いたりするのは、実は間違った対処法です。

以下の3つのステップを覚えておき、いざという時に実践できるようにしておきましょう。
ステップ1:落ち着いて座り、少し前かがみの姿勢をとる
まず、椅子などに座ってリラックスしましょう。
そして、顔を少し下に向けるように、やや前かがみの姿勢をとります。
上を向いてしまうと、鼻血が喉の方へ流れ込み、飲み込んでしまうおそれがあります。
血液を飲み込むと気分が悪くなったり、吐き気を催したりすることがあるため、それを防ぐための大切なステップです。
ステップ2:小鼻を指でしっかりとつまみ5~10分圧迫する
出血している側の小鼻(鼻のふくらんだ柔らかい部分)を、親指と人差し指でぎゅっとつまみます。
鼻の骨がある硬い部分(鼻の付け根)を押さえても効果はありません。
鼻血の多くは、鼻の入り口近くの血管から出ているため、この部分を直接圧迫することで止血します。
時計を見ながら、少なくとも5分から10分間はしっかりと押さえ続けてください。
ステップ3:血が喉に流れた場合は飲み込まずに静かに出す
前かがみの姿勢をとっていても、多少の血液が喉に流れてくることがあります。
その場合は、飲み込まずにティッシュや洗面器などに静かに吐き出しましょう。
口の中にたまった血液を出すことで、吐き気や不快感を防ぐことができます。
圧迫を続けている間は、なるべく安静に過ごすことが大切です。
やってはいけないNGな対処法
鼻血が出た際に、良かれと思ってやってしまいがちな行動の中には、かえって出血を長引かせたり、気分を悪くさせたりする間違った対処法があります。
例えば、首の後ろをトントンと叩く行為には、科学的な止血効果はありません。
また、ティッシュペーパーを固く丸めて鼻の奥深くまで詰め込むと、抜くときに血のかさぶたを剥がしてしまい、再出血の原因になるため避けましょう。
最もよくある間違いは、顔を上に向けることです。
これは血液を飲み込んでしまう原因になるため、必ず前かがみの姿勢を保ってください。

繰り返さないために。鼻のかゆみと鼻血の日常的な予防策
鼻血は一度出ると繰り返しやすい傾向があります。
そのため、止血するだけでなく、鼻血が出にくい状態に整えるための日々の予防が重要です。
特にアレルギー性鼻炎や花粉症をお持ちの方は、その根本原因への対策と合わせて、鼻の粘膜を健康に保つためのセルフケアを心がけましょう。
鼻の粘膜を潤すセルフケアで乾燥を防ぐ
鼻の粘膜が乾燥すると、バリア機能が低下し、かゆみや出血が起こりやすくなります。
これを防ぐためには、粘膜を潤すことが大切です。
室内では加湿器を使って湿度を50〜60%に保つ、外出時にはマスクを着用して鼻に入る空気を加湿するなどの工夫が有効です。
また、入浴時の蒸気を吸い込んだり、鼻の周りを蒸しタオルで温めたりするのも効果的です。
特に乾燥が気になる場合は、白色ワセリンを綿棒で鼻の入り口付近に薄く塗ることで、粘膜を保護し、水分の蒸発を防ぐことができます。
アレルギーの原因を特定し対策する
鼻のかゆみがアレルギー性鼻炎によるものであれば、原因物質(アレルゲン)を特定し、それを避けることが最も効果的な予防策です。
花粉症の場合は、花粉の飛散が多い日には外出を控える、マスクやメガネを着用する、帰宅時には衣服や髪についた花粉を払い落とすなどの対策を徹底しましょう。
ハウスダストやダニが原因の場合は、こまめな掃除や寝具の洗濯、空気清浄機の使用が有効です。
原因がはっきりしない場合は、耳鼻咽喉科でアレルギー検査を受けることで、ご自身のアレルゲンを特定できます。
鼻のかみ方を見直して負担を減らす
鼻をかむ際の物理的な刺激も、粘膜を傷つける大きな要因です。
鼻をかむときは、両方の鼻を一度に強くかむのではなく、片方の鼻の穴を指で押さえ、もう片方ずつゆっくりと優しくかむようにしましょう。
これにより、鼻の粘膜や耳にかかる圧力を軽減できます。
鼻水が固まって出にくい場合は、無理やりかまずに、蒸しタオルで鼻を温めたり、お風呂に入ったりして、鼻の中を温めて湿らせるとかみやすくなります。
こんな症状は要注意!耳鼻咽喉科の受診をおすすめするケース
ほとんどの鼻血は心配いりませんが、中には医療機関での処置が必要な場合や、他の病気が隠れているサインである可能性もあります。
以下のような症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ずに、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

・正しい方法で圧迫しても20分以上出血が止まらない
・短期間のうちに何度も鼻血を繰り返す
・出血量が多く、血がポタポタと流れ落ちる
・顔色が悪くなったり、めまいや立ちくらみがしたりする
・高血圧や血液をサラサラにする薬を服用している
・鼻以外の場所からも出血しやすい
長久手市のごとう耳鼻咽喉科で受けられる検査と治療
繰り返す鼻のかゆみや鼻血にお悩みの場合、その原因を正確に突き止め、根本から治療することが大切です。
当院(ごとう耳鼻咽喉科クリニック)では、患者さま一人ひとりの症状に合わせて、精密な検査と適切な治療をご提案します。
長引く症状や不安なことがあれば、我慢せずにご相談ください。
鼻の中の状態を詳しく調べるための検査
まず、鼻の中の粘膜の状態を詳しく観察するために、細くて柔らかいカメラ(内視鏡)を用いた検査を行います。
この検査により、炎症の程度、アレルギー性鼻炎の所見、ポリープの有無、出血しやすい場所などを直接確認できます。
痛みはほとんどありません。
また、アレルギーが疑われる場合には、血液検査で原因となるアレルゲンを特定します。
症状によっては、鼻の奥にある副鼻腔の状態を調べるために、レントゲンやCT検査を行うこともあります。
かゆみと出血を根本から改善するための治療
検査で特定した原因に基づき、治療を行います。
アレルギー性鼻炎が原因の場合は、抗アレルギー薬の内服や点鼻薬を用いて、かゆみや炎症を抑えます。
これらの治療で効果が不十分な方や、根本的な体質改善を目指したい方には、スギ花粉やダニに対する「舌下免疫療法」も選択肢となります。
頻繁に出血を繰り返す血管に対しては、薬剤を塗ったり、レーザーで焼いたりして固める「焼灼治療」を行うことで、出血を予防できます。
鼻のかゆみと鼻血に関するよくある質問
ここでは、患者さまから特によく寄せられる、鼻のかゆみと鼻血に関する質問にお答えします。
子供が鼻をよくいじり鼻血を出しますが、アレルギーが原因でしょうか?

アレルギー性鼻炎の可能性が高いと考えられます。
お子さまは鼻の粘膜がかゆいと、無意識に鼻をほじることで刺激してしまいます。
大人に比べて粘膜が薄くデリケートなため、少しの刺激で簡単に出血します。
特に花粉症の時期や季節の変わり目に症状が悪化する場合は、一度アレルギー検査を受けることをおすすめします。
鼻血が頻繁に出るのですが、何か悪い病気の可能性はありますか?
ほとんどは鼻の乾燥やアレルギーなど局所的な原因によるものですが、まれに高血圧や血液疾患(血友病や白血病など)が背景にあることもあります。
出血がなかなか止まらない、鼻以外からも出血する、全身にあざができやすいといった症状が伴う場合は、内科的な検査が必要です。
まずは耳鼻咽喉科でご相談ください。
鼻のかゆみを抑えるために市販の点鼻薬を使い続けても大丈夫ですか?
血管収縮剤を含むタイプの点鼻薬を長期間使用し続けることは避けるべきです。
一時的に鼻づまりは解消されますが、使いすぎるとかえって鼻の粘膜が腫れてしまい、症状が悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こす可能性があります。
症状が続く場合は、耳鼻咽喉科でご自身の症状に合った適切な薬を処方してもらうことが大切です。
まとめ
鼻のかゆみと鼻血は、多くの場合、アレルギー性鼻炎や空気の乾燥によって鼻の粘膜がデリケートになることで起こります。
鼻血が出てしまった際は、慌てずに「前かがみで小鼻を圧迫する」という正しい方法で止血しましょう。
そして、繰り返さないためには、加湿やアレルゲン対策などのセルフケアが重要です。
しかし、症状が長引いたり、出血が頻繁だったりする場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診することが根本的な解決への近道です。
長久手市および周辺地域で鼻の症状にお悩みの方は、ごとう耳鼻咽喉科クリニックへお気軽にご相談ください。

