2026年9月12日

スギ花粉のピークを過ぎたはずなのに、鼻水やくしゃみがまだ続く、そんなお悩みはありませんか。
その症状は、ヒノキ花粉が原因かもしれません。
ヒノキ花粉症に苦しむ方の中には、根本的な体質改善を目指せる舌下免疫療法を検討している方も多いでしょう。
しかし、ヒノキ花粉症専用の治療薬は現在ありません。
この記事では、なぜスギ花粉症の舌下免疫療法がヒノキ花粉症にも用いられるのか、その医学的な理由と効果の限界、治療の具体的な進め方について、専門的な観点から分かりやすく解説します。

ヒノキ花粉症にも舌下免疫療法は有効?スギ花粉症との関係性
結論から言うと、ヒノキ花粉症専用の舌下免疫療法薬は存在しませんが、スギ花粉症用の舌下免疫療法を行うことで、ヒノキ花粉症の症状も改善する効果が期待できます。
日本では、スギ花粉症とヒノキ花粉症の両方にアレルギーを持つ方が非常に多く、全体の約7割にのぼるともいわれています。
そのため、スギ花粉症の治療が、結果的にヒノキ花粉症の症状緩和にもつながるケースが少なくありません。
では、なぜ異なる植物の花粉に対して、一つの治療法が効果を示すのでしょうか。
その背景には、アレルギーの原因となる物質の構造的な類似性が関係しています。
スギ花粉症の薬がヒノキにも効果が期待できる理由
スギ花粉症の治療薬がヒノキ花粉症にも効果を示す理由は、この二つの花粉に含まれるアレルギー原因物質のアレルゲンの構造が非常によく似ているからです。
この現象は交差抗原性と呼ばれ、アレルギー治療において重要な概念です。

アレルゲンの構造が似ている「交差抗原性」とは?
交差抗原性とは、アレルギーの原因となるタンパク質(アレルゲン)の形が似ているために、免疫システムがそれらを「同じもの」として認識し、同様のアレルギー反応を起こしてしまう現象を指します。
スギ花粉とヒノキ花粉は、どちらもヒノキ科の植物であるため、アレルゲンの構造に高い共通性を持っています。
そのため、体がスギ花粉に反応するとき、形の似たヒノキ花粉にも同じように反応してしまうのです。
スギ舌下免疫療法でヒノキ花粉症の症状が軽減するメカニズム
舌下免疫療法は、アレルゲンを少量ずつ体内に取り入れることで、そのアレルゲンに対して体が過剰に反応しないように慣れさせる治療法です。
スギ花粉のアレルゲンを用いて治療を続けると、体は次第にスギ花粉を異物として攻撃しなくなり、アレルギー反応が抑えられます。
この慣れの効果が、構造の似ているヒノキ花粉のアレルゲンにも及ぶため、ヒノキ花粉が飛散する時期になっても症状が出にくくなる、あるいは軽くなると考えられています。
これが、スギ舌下免疫療法でヒノキ花粉症の症状が軽減するメカニズムです。
知っておきたい注意点:ヒノキ花粉症への効果の限界
スギ花粉症の舌下免疫療法はヒノキ花粉症にも効果が期待できますが、その効果には限界があり、すべての人に同じ結果が現れるわけではありません。
治療を始める前には、効果の個人差や、どのような場合に効果が出やすいのかを理解しておくことが重要です。
すべての人に同じ効果が保証されるわけではない
スギ舌下免疫療法のヒノキ花粉症への効果は、あくまで副次的なものです。
そのため、スギ花粉症に対する効果と比較すると、効果は穏やかである傾向があります。
研究報告によって差はありますが、約5〜6割程度の患者さまでヒノキ花粉症の症状改善が見られたというデータがある一方で、残念ながら効果をほとんど感じられない方もいます。
特に、ヒノキにしか含まれない特有のアレルゲンに強く反応する体質の方の場合、スギの治療薬では効果が出にくい可能性があります。
スギとヒノキ両方のアレルギーを持つ方でより高い効果が期待できる
スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉だけでなく、ヒノキ花粉に対してもある程度の効果が期待できるとされています。治療開始前のアレルギー検査で、どの花粉にどの程度反応するかを正確に把握することが、治療効果の予測に非常に重要です。純粋にヒノキのみにアレルギーがある方は少なく、多くはスギにもアレルギーを持っていますが、アレルギー反応のバランスによって効果の出方が異なると考えられています。
ヒノキ花粉症専用の舌下免疫療法薬はなぜ存在しないのか
「なぜヒノキ専用の舌下免疫療法薬がないのか」という疑問を持つ方は少なくありません。

ヒノキ薬が開発されていない背景には、日本の花粉症患者の特性や、新薬開発に伴う現実的な課題が関係しています。
理由1:純粋なヒノキ単独の花粉症患者が少ないため
ヒノキ花粉症に悩む方の中には、スギ花粉症も併発しているケースが多く見られます。スギとヒノキのアレルゲンには交差反応性があることが知られていますが、スギ花粉症の治療がヒノキ花粉による症状をどの程度カバーできるかについては、さらなる検討が必要です。ヒノキ単独の花粉症患者の割合や、それに応じた治療薬の開発状況については、さらなる研究が求められます。
理由2:新薬開発におけるコストと実用性の課題
一つの新しい医薬品を開発するには、莫大な研究開発費と長い年月が必要です。
薬を開発するとなると、臨床試験などを通じてその有効性と安全性を厳密に証明しなければなりません。
対象となる患者さまが少ない中で、製薬会社が開発コストをかけて実用化に踏み切るのは、経営的な観点から非常に難しいのが現状です。
これらの理由から、現時点ではヒノキ花粉症専用の舌下免疫療法薬は存在していません。
ヒノキ対策で舌下免疫療法を始める場合の具体的な流れ
ヒノキ花粉症の症状を和らげるためにスギの舌下免疫療法を始める場合、適切な手順を踏むことが重要です。
安全かつ効果的に治療を進めるため、アレルギー検査から治療期間、費用、そして現在の薬剤供給状況まで、具体的な流れを解説します。

まずアレルギー検査で原因アレルゲンを特定する
治療の第一歩は、ご自身の症状が本当にスギやヒノキのアレルギーによるものなのかを正確に診断することです。
血液検査を行い、どのアレルゲンに対して抗体を持っているかを調べます。
この検査結果に基づき、医師が舌下免疫療法の適応があるかを判断します。
当院でもアレルギー検査を実施しており、結果をもとに最適な治療方針をご提案します。

治療開始に最適な時期は?【6月~12月が推奨】
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、アレルゲンであるスギ花粉が飛散していない時期に開始するのが原則です。
花粉飛散中に治療を始めると、アレルギー反応が強く出てしまうリスクがあります。
そのため、一般的にスギ花粉の飛散が終了した6月頃から、次のシーズンが始まる前の12月頃までに開始することが推奨されています。
治療期間は3年以上が目安!根気よく続けることが大切
舌下免疫療法は、アレルギー体質そのものを時間をかけて改善していく治療です。
効果を実感し、治療終了後もその効果を持続させるためには、長期間の継続が不可欠です。
推奨される治療期間は3年以上で、毎日欠かさず薬を服用する必要があります。
根気が必要な治療ですが、続けることで将来的な症状の軽減や、使用する薬の量を減らすことにつながります。
治療にかかる費用の目安【保険適用】
舌下免疫療法は、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎に対して健康保険が適用される治療法です。
医療費の自己負担割合が3割の方の場合、クリニックでの診察料と薬局での薬代を合わせて、1か月あたり2,000円から3,000円程度が費用の目安となります。
これが治療期間中、継続的に発生します。
【重要】治療薬の供給状況と新規受付について
近年、舌下免疫療法を希望する患者さまの増加に伴い、治療薬の全国的な供給が不安定になる状況が発生しています。
製薬会社の出荷調整により、クリニックによっては新規の治療開始を一時的に停止、または予約待ちとなる場合があります。
ヒノキ薬の代用として治療を検討している方も、まずは受診を希望する医療機関へ現在の受付状況を確認することをおすすめします。
舌下免疫療法で起こりうる副作用とクリニックでの安全対策
舌下免疫療法はアレルゲンを直接体内に入れる治療法のため、副作用が起こる可能性があります。
しかし、その多くは軽微なものであり、クリニックでは安全に治療を進めるための対策を講じています。

事前に副作用について正しく理解し、安心して治療に臨みましょう。
主な副作用は口の中の違和感や腫れ
舌下免疫療法の副作用としては、口の中や喉の違和感などの局所症状が多く見られます。服用後に口の中の症状(舌の下の腫れ、口内のかゆみや刺激感、唇の腫れ、喉の違和感、耳のかゆみなど)が現れることがあります。また、全身症状として皮膚のじんましん、腹痛、吐き気などが出る可能性もあります。
初回はクリニックで服用し、安全性を確認
安全に治療を開始するため、舌下免疫療法の最初の1回目の服用は、必ずクリニック内で行います。
医師やスタッフの監督のもとで薬を服用し、その後30分ほど院内で待機して、アナフィラキシーショックのような重篤な副作用が起こらないかを経過観察します。
問題がないことを確認したうえで、2回目以降の自宅での服用が開始となります。
当院でもこの手順を徹底し、患者さまの安全を最優先に治療を進めています。
ヒノキの舌下免疫療法に関するよくある質問
ヒノキ花粉症でお悩みの方がスギの舌下免疫療法を検討する際によく抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
治療の効果や対象、他の薬との併用について、事前に確認しておきましょう。
スギ花粉症の舌下免疫療法は、ヒノキ花粉症にどの程度の効果が見込めますか?
個人差はありますが、スギとヒノキ両方にアレルギーがある方の約5〜6割で、ヒノキ花粉症の症状も軽減されると報告されています。
ただし、スギへの効果ほど確実ではなく、中には効果がほとんど見られない方もいます。
あくまで副次的な効果として期待するものです。
ヒノキ花粉症だけの症状でも、スギの舌下免疫療法は受けられますか?
この治療は、アレルギー検査でスギ花粉に対してアレルギー反応が陽性であることが確認された場合にのみ適応となります。
検査の結果、純粋なヒノキ単独のアレルギーで、スギへの反応が陰性だった場合は、残念ながらこの治療を受けることはできません。
舌下免疫療法の治療期間中にヒノキ花粉のシーズンを迎えたら、他の薬は使えますか?
はい、併用可能です。
舌下免疫療法は体質を改善する根本治療であり、効果が出るまでには時間がかかります。
治療中でも症状がつらい場合は、抗アレルギー薬の内服薬や点鼻薬、点眼薬といった対症療法の薬を適宜使用して、症状をコントロールすることが認められています。
治療の選択肢については、医師にご相談ください。
専門医による正確なアレルギー診断と治療法の提案
当院の院長は、日本耳鼻咽喉科学会認定の専門医です。
豊富な知識と経験に基づき、丁寧な問診と必要なアレルギー検査を行うことで、症状の原因を正確に診断します。
その上で、舌下免疫療法が適切かどうかを含め、患者さまのライフスタイルやご希望に合わせた最適な治療法をご提案します。
舌下免疫療法の丁寧な導入と長期的なアフターフォロー
舌下免疫療法は3年以上の継続が必要な治療です。
当院では、初回の安全な導入はもちろんのこと、治療中の副反応や疑問点にもきめ細かく対応し、患者さまが安心して治療を続けられるよう、長期的にサポートする体制を整えています。
定期的な通院を通じて、効果の確認や体調の変化を丁寧にフォローアップします。
豊富な知見に基づいた安全性の高い治療の実施
副作用のリスクを最小限に抑え、安全に治療を進めることを最優先に考えています。
万が一、副作用が出た場合の対処法についても事前に詳しくご説明し、緊急時にも迅速に対応できる体制を構築しています。
これまでの多くの臨床経験に基づき、安全性が高く、かつ効果的な治療の提供に努めます。
WEB予約システムの導入で待ち時間を短縮し負担を軽減
当院では、患者さまの利便性を高めるため、WEB予約システムを導入しております。
スマートフォンやパソコンから手軽に順番取りができるため、院内での待ち時間を短縮し、忙しい方でも通院の負担を軽減できます。
定期的な通院が必要な舌下免疫療法の患者さまにも、スムーズに受診していただけます。
副鼻腔CTなど充実した検査設備で合併症も的確に診断
長引く鼻炎症状の中には、アレルギーだけでなく慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が合併しているケースも少なくありません。
当院では副鼻腔CTを完備しており、鼻の奥の状態を詳細に検査することが可能です。

これにより、アレルギー以外の原因も的確に診断し、より包括的な治療を行うことができます。
ごとう耳鼻咽喉科クリニックでの舌下免疫療法のご予約について
舌下免疫療法はアレルギーの根治を目指せる治療法ですが、開始時期や適応判断には専門的な診察が必要です。当院では、患者さま一人ひとりのアレルギー検査結果に基づき、最適な治療計画をご提案しています。
治療をご検討中の方や、ご自身の症状に合った治療法を知りたい方は、ぜひ一度当院へご相談ください。WEB予約システムを通じて、診察のご予約を承っております。

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